第1章 きみどり scene1
「寝室はどこなんですかー」
聞いても答えないことはわかっているが、初めて入る大野さんの家に戸惑ってしまっていた。
なにか喋っていないと落ち着かない。
玄関からまっすぐ突き当りに見えるドアを開ける。
多分、リビングだ。
昔、話に出てきた紫色のソファがあった。暗闇のなかでもその存在感は光っていた。
いつもここで寝起きしてるって言ってたから、とりあえずここに寝かせよう。
なんとか最後の力を振り絞り、大野さんをソファへ横たえる。
電気…電気どこだ。
スイッチを探しに立ち上がろうとしたら、足元になにか転がっていておもいっきり乗っかってしまった。視界が反転する。コケた。
ガツンと腕が何かにぶつかった。
コケた体勢で目の前でみてみたら、ぶつかったのはサイドテーブルだった。
存外に大きな音を立ててサイドテーブルの上のものが雪崩を起こした。
ガラガラガラっとものが散乱する。金属音も混じっていたから、なにか大事なものも入っていたかもしれない。
最後にキーンと耳に響く嫌な音が鳴った。
「ふあ!?何の音!?」
大野さんが飛び起きた。
「え?起きた!?」
床に寝転んだまま振り返ると、ソファの上で大野さんが、上半身を起こしていた。
「え?なに?かず?」
大野さんは俺の顔を見ると、わけがわからないとパニックを起こした。
「なんで?俺んちにかずがいるの?」
「いや…その……ごめん」