第22章 オレンジscene1
それからまた忙しい日々を過ごした。
一年過ぎた。
一度、中国人の女の子に告白されたが、まったくその気になれなかった。
性欲すらどこかへ行ってしまった。
9月が来て、キャンパスの方では新入生が入ってきた。
こちらの研究室にも新しいメンバーが増えたりした。
でも俺にはあんまり関係がなくて。
物理以外のことにさほど興味はなくなっていた。
ひげも剃るのが面倒で伸ばし放題。
髪も何ヶ月切っていないだろう。
あだながクマになりそうだった。
ジャップクレイジーくんが、俺のことをリトルベアーと呼び始めたからだ。
リトルはいらんだろう…
そう思ったがほっといた。
キャンパスの中庭の芝生に寝転がって、ノートとシャーペンを持って夢想に耽る。
青空がきれいだった。
日本とは気候がだいぶちがうけれど、だいぶ馴染めた。
これからどんなことが起こるかわからない。
二宮に出会わなければ、俺はまだあの高校で教師をやっていたことだろう。
二宮もきっとそうであってほしい。
あいつが前に進めるような、そんな出来事が起こっていることを祈った。
ミシガンの青空は蒼い。