第22章 オレンジscene1
それほど身体の傷は深かったのだろうか。
もしかして障害を負ったのだろうか。
頭がおかしくなりそうだった。
今すぐ日本に帰りたい。
二宮の自宅に押しかけてもいい。
いったい今、あいつがどんな状態なのか知りたかった。
『サクライ?どうした』
ジャップクレイジーくんが話しかけてきた。
『なんでもない』
『ヘイ、水くさいぜ。それがなんでもないって顔か?』
寮の公衆電話の前で、しつこく絡まれた。
『今は話す気分じゃないんだ…』
『ヘイ、それは恋か?』
『恋?』
『そんな顔してるぜ』
フランス人はすぐこれだ…
無視しようとすると、ジャップクレイジーくんは俺を抱きしめようとした。
『な、なにすんだよ!』
『お前はそそる。やらせろ』
『アホか!三回まわってワンと言え』
『なんだそれは。日本のことわざか』
『そんなもんだ…じゃあなおやすみ』
部屋に帰ってきたら、二宮の顔が浮かんできて耐えられなかった。
ベッドに寝転がると、シーツをぎゅっと握って耐えた。
ここを耐えていかなきゃならない。
二宮のくれたチャンスを壊すことはできない。
俺は涙を飲み込み続けた。