第22章 オレンジscene1
俺は湯川教授の推薦で、公費でアメリカに留学することが決まったのだ。
煩雑な手続きをしながら、引き継ぎをして、更に生徒たちの進路の面倒をみる。
目が回るような日常になった。
同僚の教師たちは、俺を温かく励ましてくれた。
ちょうど受け持っていたのが3年だったので、引き継ぐこともさほど無い。
今いる生徒たちをとにかく進学・就職させることに集中した。
2次試験も無事に終わり、二宮は無事に帝上に合格した。
湯川教授に電話して、二宮のことをくれぐれも頼んでおいた。
理科準備室に一人で居ると、いつ二宮が現れるかと思ってひやひやしていたが、一向に現れなかった。
そのうちすぐに卒業式の準備が始まって更にバタバタした。
忙しくて一時もじっとしてられなかった。
卒業式の前日、予行練習があった。
この日ばかりは生徒が全員集合した。
それまで3年は自由登校になっていたので、いくぶん校内は閑散としていたのだが。
3年生がいるだけで、どことなく引き締まった雰囲気になる。
体育館に職員も全員集合して、予行練習が始まる。
しかし、二宮の担任の姿がなかった。