第22章 オレンジscene1
放課後を知らせる鐘が鳴ってしばらくして、理科準備室に二宮がきた。
他の教師は出払っていた。
「せんせ?」
ドアのほうを見ると、二宮が立っていた。
「おう…学年10位くん。入れよ」
「失礼しまーす」
そういうと、俺の後ろのイスに座った。
「先生、約束…」
早速、出た。
「おう…覚えてるよ?」
イスを二宮の方に向ける。
「お前すごいなぁ…ほんとにこれだけの為に勉強したの?」
「うん…」
そういって、視線を下に逸らした。
「偉かった。凄いぞ、二宮」
そう言って、頭をわしゃわしゃ撫でた。
二宮が顔を上げた。
「ホント?俺、偉い?」
「うん。偉い。すごかったぞ」
そういって、顔を両手で挟んでやった。
むにっと中央に寄せると、唇が突き出た。
あ、キスしたい…
だめだだめだ。
そのまま手を離した。
机に向き直る。
「で?なんだ?言うこときいてやるから、言えよ」
「ほんとにいいの?」
「あ、ああ?」
「先生…」
呼ばれたから振り向いた。
二宮がすぐ後ろに立っていた。
見上げると、思いつめた瞳をしていた。
「どうし…」
言ってる途中で唇を塞がれた。
唇が離れると、二宮は部屋を飛び出していった。