第22章 オレンジscene1
土曜日に二宮の家を訪ねた。
一応、昨年は担任だったのでご家族に挨拶をと思ったからだ。
家につくと母親と二宮が既に外に出て俺を待っていた。
「まあ、先生すいません。和也が我儘言って」
「いえ、お久しぶりです。お母様。いいんですよ、ちょうど用事もあったので…」
頭を下げる母親を二宮は、照れくさそうに見ている。
こういう素直なところもかわいいと思う。
「和也くんの参考になればいいんですが…なにしろ俺なんかの母校なんで…」
「まあ先生なにを仰るんですか…いつも和也が先生のこと褒めてるんですよ。おこがましいんですが」
そういうと二宮とよく似た母親はふふっと笑った。
「先生に聞けば、物理のどんな問題だってわかるって。先生は俺のスターだって言ってますわよ…」
「す、スター!?」
「かあちゃん!もういいだろ!先生、いこ?」
真っ赤になった二宮に阻まれた。
もうちょっと聞いていたかった。
助手席に二宮を乗せて、母親に挨拶したら出発する。
今日はちょっと遠出になるから、飲み物も買ってきた。
二宮と心躍るドライブは、最後のご褒美だと思った。