第22章 オレンジscene1
まさか生徒を好きになるとは思わなかった。
しかも男子生徒だ。
俺の論文が進まなくなった訳は、実はそこにあった。
二宮が俺に懐けば懐くほど、俺の懊悩は深くなった。
論文も手につかなくなったから、大学も暫くいけなくなったと告げていかなくなった。
暇さえあれば二宮の事を考えていた。
二宮が二年になって、担任になったとき、心が躍り上がるのを止められなかった。
でも、俺は教師だ。
そして男だ。
だから、それを伝えるなんてことできない。
3年の受験期に担任を外れたのは、幸いだった。
受験に必要な科目の底上げを目的としたクラス替えで、二宮とは離れたのが逆によかった。
俺は二宮と接する時間が少なくなって、やっといつもの調子を取り戻した。
そしてやっと12月になって、大学に再び通うことを決めたのだ。
論文もこの調子なら、来年早々に書き上がるかもしれない。
二宮のことは惚れているが、この先どうにもならない。
あいつの未来を俺で汚すようなこともしたくない。
不思議だった。
他の男子生徒にはこんな気持にならない。
今まで付き合ってきたのだって女性だった。
二宮だけが特別だった。
二宮だけが俺の心をかき乱した。
そっと二宮を触った手を握った。