第22章 オレンジscene1
理科準備室の鍵を締めて廊下を二人で歩く。
久しぶりだった。
受験期に入る前はよくあった事だ。
でもそれが、暗いのが恐いからだとは、今日初めて知った。
「先生、そのメガネいつからしてるの?」
俺はシルバーのフレームのメガネを取った。
「うーん…大学からじゃないかな…」
「ちょっと貸して?」
俺は二宮にメガネを渡した。
なにも言わず二宮はメガネをかけた。
「あっ!二宮、それ度がきついから…!」
言った時には遅くて、二宮は目をぎゅっとつぶったまま動かなくなった。
「せ、せんせぇ~…どんだけ目悪いの…」
まだ目が開けられない。
俺はメガネを外してやって、自分にかけた。
よくみると二宮は泣いている。
「まさか掛けるとは思わなかったよ…大丈夫か?」
俺は二宮の涙を手で拭いた。
肌が吸い付くようにしっとりしていて、思わずどきっとした。
ふいに二宮が目を開けた。
潤んだ目で俺を見上げた。
「せんせ、よく見えない…」
甘えた声でいうから、俺は二宮の手をとって歩いた。
「まったく…俺の視力、0.02だぞ?」
「ええ~マジで?凄いね。メガネ外したらなんも見えないね」
「まあな…」
そんなたわいのない話をしているのに、二宮の手を掴んだところが熱くて熱くてたまらなかった。