第22章 オレンジscene1
案の定、新入生たちはそれからしばらくしてやりたい放題。
学年補佐の俺のことは、やっぱり櫻井ちゃん呼び。
先生と呼んでくれるのは、ごく一部の生徒だけで。
そのなかに、桜の下でコケた二宮もいた。
二宮は理系クラスで、俺の授業に出ていた。
最初は失念していたが、二宮の手の傷をみて思い出した。
俺の授業は物理で、大半の生徒は寝ている。
熱心に聞いているのは、大学進学を視野に入れているごく一部。
この学校は文系に力を入れているので、それもしょうがないのかなと思う。
あまりだから厳しいことも言ってやらない。
やる気のある生徒には、誠意をもって対応している。
二宮はその中のひとりだった。
職員室に質問にくる。
理科準備室でうたた寝している時までくる。
いつも熱心な二宮は、物理の成績はトップだった。
でも担任に聞いてみたら、後のはさっぱりだという。
謎が多い生徒だ。
学校内で会うと、必ず駆け寄ってきて話しかけてくる。
他愛もない話が多い。
でも必ず毎日、どこかしらで出会う。
その度に二宮は俺の後を追っかけてくる。
カルガモになった気分だった。