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カラフルⅠ【気象系BL小説】

第20章 ポンパドールscene1


「ニノは…俺たちには振り向かないよ…」


静かな声で翔さんが言った。


大野さんの動きが止まる。


「わかるでしょ?智くん」


翔さんが、まっすぐ大野さんを見つめた。


「ニノはね、俺たちがいくら思っても届かないところにいるんだよ…」


雅紀が翔さんの服の裾を握った。


「16年、耐えた…」


ため息が翔くんの口から漏れた。


「もう、待てないんだ…」


そういうと、涙で濡れている雅紀の頬を拭ってやった。


「泣かないで?雅紀」


雅紀は頷いた。


ゴシゴシと涙を服の裾で拭いた。


「酷いよ…」


大野さんの身体が震える。


「そんなのただのエゴだ…レイプじゃん…」


「それでも、止められないよ。智くん」


翔さんの声はきっぱりと硬かった。


「ごめんね。智くん…」


そういって、翔くんは頭を深々と下げた。


雅紀もまた、頭を下げた。


大野さんは振り上げた拳の落としどころを失った。


「でも…でも…」


「大野さん、もういいでしょ…」


俺は抱きしめた手に力を入れた。


「俺たちは、見てるしかない」


大野さんは俺の顔を見上げると、顔を歪めた。


「潤っ…もう…やだぁっ…」


そういって大声で泣き始めた。


俺にしがみついて。


俺はその背中をずっと撫でていた。

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