第20章 ポンパドールscene1
抱きしめてやったらいいのに。
なんとなく二人の雰囲気をみていたらそう思った。
「…潤、智くんは?」
「今、寝てる。さっきちょっと興奮しすぎたみたいで…」
「そっか…」
そのまま言葉が継げないようで。
また唇を噛んで黙り込んだ。
廊下をひたひたと歩く音が聞こえたかと思うと、リビングの扉が乱暴に開いた。
大野さんが起き出してきていた。
「翔くん…」
また憤怒の表情だった。
「大野さん!」
俺はすぐに大野さんに駆け寄った。
走りだそうとするのを抱きとめた。
「待って!大野さん!」
「なんで!?翔くん!なんで!?」
「ごめん…智くん…」
見ていられなかった。
焦燥しきった表情の翔くんと、泣いている雅紀。
二人の気持ちは俺には痛いほどわかる。
大野さんに片思いしてたころの自分と重なる。
でも、大野さんの気持ちもわかる。
どうしていいか、誰にもわからない。
誰も大野さんの暴走を、二人の暴走を止められない。
「翔くん酷いよ!ニノが好きなら、正々堂々とすればいいじゃん!なんで!?なんでそんなことするの!?」