第20章 ポンパドールscene1
「顔、上げなよ…もう責めないから…」
大野さんは俺の胸でしゃっくりあげてる。
頭を撫でて落ち着かせる。
「もう、気持ちはわかったから…」
そういうと、胸にいる大野さんをまたぎゅっと抱きしめた。
「智、俺たちは見守るしかないよ?いいね?」
大野さんはいやいやをしたが、すぐにじっとした。
「傷つけたら、だめ…」
雅紀は頷いた。
「できるだけ、傷つけないよう頑張るから…」
そう言って顔を上げた。
涙に濡れた顔を隠そうともしなかった。
「もし傷ついたら、頼む」
そう言ってまた深々と頭を下げた。
それから暫く時間がとまったようだった。
大野さんは俺の腕の中で眠ってしまった。
よほど神経が張り詰めたんだろう。
雅紀はその場に崩れ落ちていた。
「雅紀、翔さん呼びなよ。今日中に話つけよう」
「え?」
「大野さん、翔さんの顔みたらまた喧嘩始めるかもしれないから、今日済ましちゃおうよ」
「あ、そっか…」
そう言ってスマホを取り出した。
コールすると、意外と早く繋がった。
軽く経緯を話すと、すぐ答えがでたらしい。
電話はすぐ切れた。
「今から向かうって」