第19章 シーモスscene1
「そうだけど…」
雅紀はカズヤのことになるとムキになる。
それはニノに似ているからなのか、それとも境遇に同情しているのか、わからない。
「雅紀、俺、電話するから」
雅紀は切ない顔をした。
気持ちはわかる。
でも俺たちも16年がかかってる。
ここで引く訳にはいかない。
俺は雅紀にキスをした。
キスは俺たちにとって、あいさつがわりになってた。
「そんな顔しないで…」
俺まで切なくなった。
「わかった…」
その場ですぐ俺はカズヤに電話した。
10月以来初めてだった。
すぐにカズヤは出た。
『もしもし…?』
知らない番号からだから警戒している。
本当にニノにそっくりの声で。
「カズヤ?俺、櫻井」
『えっ…お兄さん…』
「ごめん。突然電話して…」
『本当?本当に?』
カズヤの声が嬉しそうで、俺も嬉しくなった。
「今、電話して大丈夫?」
『うん!大丈夫だよ』
「一人なの?」
『パパ、会社の人とハワイ行ったの』
「そっか。淋しいな」
『遊びに来てよ。お兄さんたちで』
そういうと笑った。
悲しい響きがした。
「じゃあ、行こうかな…」
『…上手く行かなかったの?』
やっぱり頭がいい。
しかも勘が鋭い。
「ああ、ちょっと相談に乗って欲しい」
『いいよ?じゃあ待ってるね』
そう言うと電話を切った。
「雅紀、カズヤ聞いてくれるって」
「うん」
俺は雅紀の手をとって、シャワーを浴びに行った。