第19章 シーモスscene1
「そんなの見てもいいの?」
焦った声で雅紀が聞く。
「トリヒキだよ。俺はお兄さんたちのこと言わないし、お兄さんたちはそれを流出させないっていう」
「でも…」
「じゃあ…キスして?」
カズヤがそう言って雅紀に寄りかかった。
雅紀の身体が硬直する。
「それならいいでしょ?」
それからのことはよく覚えていない。
カズヤのキスは凄かった。
どう形容したらいいかわからない。
多分、今まででナンバーワンだろう。
雅紀も同じだったらしく、夢見心地の目で歩いている。
俺たちの手にはDVD-Rとおもちゃのカタログ。
カズヤのおすすめのブランドだ。
帰り際渡された。
またきてね、と電話番号を渡された。
ニノによく似た声で。
「翔ちゃん、これからどうする…?」
熱っぽい目で雅紀がこちらを見ている。
「……俺んち、くる?」
俺の声もちょっと震えている。
暫く見つめ合った。
雅紀が小さく頷くと、伊勢丹の駐車場に早足で向かった。
そのまま乱暴に車を出すと、俺のうちに一直線に向かった。
アクセルを踏む足がもどかしかった。