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カラフルⅠ【気象系BL小説】

第2章 ワインレッドscene1


ひんやりとした背中の心地良い感触で意識が目覚めた。

あれ、俺なにしてたんだっけ。

確か、松潤とご飯行くために…

「翔くん…?」

その声に思考が遮られた。

目を開けると、そこは寝室だった。

暗い中、後ろに人がいる気配がした。

「翔くん、起きた?」

頭のなかが真っ白になった。

「今、背中冷やしてるから」

何も身にまとっていない自分を確認すると、飛び起きた。

「待って!動かないで!翔くん」

「触るなっ!触るなっ!」

途端に背中に激痛が走った。

「ううっ…」

あまりの痛さに前のめりになる。

「だから、急に動かないでって…酷く腫れてるから」

「近寄るな…俺に触るな…」

頭が急速に覚醒していく。

俺を拘束していた紐は解かれてる。

縛られていたところが赤くなってる。

下半身に違和感があり、ありありと先ほどあったことが思い出された。

涙が溢れてくる。

この16年、いやもっと。

コイツと積み上げてきたはずの信頼がすべて崩れた。

いや、それすらも幻想だったのか。

一体俺は何をしてたんだ今まで。

コイツは俺に、こんな邪な思いを抱いていたのか。

何よりもぞっとさせたのは、俺のことを「女」として扱ったことで。

俺は男だ。

どこまで行ったって男なんだ。

男に欲情なんかしない。

だからコイツの気持ちなんてわからない。

わかりたくもない。

「翔くん。触らないから。背中冷やすだけだから。お願い。横になって」

「だめだ。触るな。信用できるか」


雷鳴が聞こえた。

まだ雨が止む気配はない。


「ごめん…許せないよね…」

何も答えてやらない。

「でも、怪我の手当だけさせて。なんもしないから。お願い」

「だめだ。帰るから。服、よこせ」

「翔くん…」

「くるな!」

「翔くん!」

声の大きさにびくっと震える。

「なにもしないから!」

急速に力が抜け、ベッドにへたりこんだ。

涙が止めどなく溢れる。

「これ、かけて」

薄手の布団を下半身に掛けられる。

肩を掴まれ、うつ伏せに寝かされる。

背中に濡れタオルが載せられる感触がする。

涙が枕に吸い取られていく。

何も考えたくない。

今はただ、眠りたい。

目が覚めたらすべて夢になっていればいい。

そう願って、俺は意識を手放した。
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