第2章 ワインレッドscene1
「やめろって。たいしたことないから」
「そういう訳にはいかないよ」
瞬間、すごい力で引っ張られた。
真剣な目で俺を見つめる。
「俺が怪我させたんだから、責任とるよ」
「ば、ばっか。そんなんいいよ。謝ってくれたんだし」
「いいから。どこ?」
「背中…」
「ちょっとごめんね」
そういうと、後ろを向かせてバスローブを脱がせる。
「や、ちょっと…」
「じっとして。バスローブ落ちちゃうよ?」
そう言われればそうである。
大人しく松潤が実見しているのを待つ。
「…真っ赤だね」
「いや、そんな痛くないし…」
「でも肩にも痣できてるし…あ、ここも」
そういって脇腹を触る。
「ひゃ!や、やめろよ」
「…ごめん」
潤んだ声だった。
振り返ると、泣きそうな顔をした松潤がいた。
「ほんと、ごめん。翔くん」
「いいって。何回も謝んなよ」
「だって…」
「もういいって」
みるみる涙が溢れてきた。
「ええ!?泣くなよ、おまえ!」
「泣いてない」
「へえ?」
「泣いてない!」
なんとかこらえてる様が子供のようだった。
「もういいって。気にすんなよ」
そういってバスローブを着ようとすると、背中に何かが当たった。
温かくて、柔らかいもの。
松潤の唇だった。
え?
何してんの?おまえ。
言いたかったけど、声にならなかった。
「なんでそんな優しいの?」
唇を背中につけたまま聞いてきた。
「…なんでって…」
そのまま言葉を継げなくなった。
また違う場所に、唇が降りてきた。
それは痣のあった場所だろうと思う。
松潤の厚くて、柔らかい唇が俺の背中に点を残す。
最後に、襟足に唇がきた。
全身に電流が走ったような感覚に襲われた。
鳥肌が立つ。
「や、やめ…」
そう言って唇から離れようとした。
でも動けなかった。
後ろからがっちりと抱きしめられたから。
首筋に顔を埋められて、俺は身動きが取れなくなった。
また柔らかい唇が、俺の首筋に点を残す。
今度はあきらかに違う動きになっていた。
「やめろよ…なにしてんだよ」
抗おうにも、コイツのほうが力が強くて。
首筋の唇が、また襟足に向いた。
「あっ…も、やめろよ」