第2章 ワインレッドscene1
リビングに通されると、ソファに座れと促される。
「いや、いいよ。汚れるだろ」
「まあまあ、とりあえず」
そう強引に座らされた。
「ちょっと待っててね」
別室に消えていった。
しばらくすると、大量の服をもった松潤が現れた。
「うぉい。そんな持ってくることねえだろ」
「だって。サイズとかあるじゃん」
そういうと今度は立たされて、松潤自ら俺にフィッティングを始めた。
そうですか、俺には選択権はないんですか…
「んー、これもいいけど。サイズ感がなぁ」
正直めんどくさいのである。
「あ、これいい。翔くんどう?」
「あ、それでいいっす…」
よくみると、松潤も服が泥だらけで、おまけに手から血が出た痕があった。
「おい、おまえ怪我してんじゃねえか」
「え?ああ、たいしたことないよ」
「よくねえだろ。洗面所どこ?」
「え?こっち」
洗面所に連れて行ってもらうと、俺は強引に松潤の手を掴んで洗った。
「ちょっと翔くん、自分で洗えるって」
「おまえ、こういうの甘く見てると後で泣くぞ?」
案の定、傷には泥が入り込んでて、埋まっていた。
丁寧にそれを出して、流水で暫く流す。残っていないか確認して、最後に石鹸で洗う。
「痛い…」
「たりめーだろ。我慢しろ」
暴れるのを押さえて、なんとか傷口を綺麗にできた。
「はい。いいよ」
「ありがと」
ちょっとぶすっとした顔をしている。
なんか笑える。
「あっ。翔くんも手に怪我してるじゃん」
「え?どこ?」
右手の肘をやられてた。
半袖なんか着てるもんだから、あんな事故?にあって怪我してないわけないわなあ…
「あ、こんなとこにも泥…」
松潤が、襟足をつかむ。
「あふっ…掴むなバカ」
実を言うと、弱いのだ。
「ごめんね。翔くん。あの、風呂入って?」
「ええ!?いいよ。服貸してくれたら帰るよ」
「いやいや、そんな訳にはいかないっしょ」
そういうと、洗面所を出て行く。
「翔くん、待ってて」
そんな声を残して、どうやらバスルームへ行ったようだ。
「強引なやつ…」
苦笑い。
リビングに戻って、テレビを点けた。
今日も世の中、雑多な出来事が起こってる。
俺も、まさか松潤の家で風呂に入るとはなぁ。
人間の運命ってわかんないもんだ。