第2章 ワインレッドscene1
おしぼりを受け取り、手を拭く。
雨のせいで、階段の下には少し水たまりができていた。
倒れた際に、べっとりと手に泥水が付いていた。
「すいません。ここモップかけておきますね」
そういうと店長は店内に消えた。
手を拭いてふと松潤を見ると、なんだか青い顔をしている。
「どうした?」
「翔くん、ごめん。服…」
見ると、あちこちに泥水が付いていた。
「いいよ、こんくらい。洗濯すりゃいいんだから」
「ち、違う。ここ…」
松潤の指差す方向をみる。
それは俺の尻だ。
尻をみると、泥水にまみれた…
俺のパンツが見えた。
パンツではない、パンツ。
つまり、下着だ。
おしりの縫い目がぱっくりと割れていた。
「ああああああああああああ」
「ごめんっ翔くん!」
「おい~!これ、あー。もう」
「翔くん、とりあえずこれ」
松潤は上着を脱ぐと、俺の腰に巻こうとした。
「いや、おまえの服が汚れるだろ」
「いいの。そんな…だって…」
ここで松潤が笑いをこらえきれず吹き出した。
「だって…そんな…相葉くんみたいな姿…くっくっくっく…」
この男、笑い上戸でもある。
「おいー。笑ってんなよ?」
「マジ、ごめん…くっくっく…」
そう、アイドルたるもの、パンツを見せて歩くことはできない。
貰ったおしぼりで、軽く周辺を拭いてから、松潤の上着を受け取る。
腰に巻きつけると、なんとか隠れた。
「あーもう、酒どころじゃねーな…」
「ごめん、翔くん」
「気にすんな」
そういうと、松潤は店内へおしぼりを返しにいった。
すぐに出てくると、俺の手を引いて階段を登り始めた。
「ちょ、どこいくの?」
「俺んちいこ?」
この男、強引でもある。
階段を登ると、すぐ目の前の大通りでタクシーを拾う。
行き先を告げ、改めて松潤は俺の顔を覗きこむ。
「大丈夫?翔くん」
「んー?まあ、ちょっと腰は痛いけど」
「シップ、家にあったかな…」
いうや、運転手に何やら告げ、ドラッグストアで止めてもらう。
「ちょっと待ってて」
そういうと足早に店内に消えていった。
すると運転手が話しかけてきた。
「お客さん、どっか打ったの?」
「あ、ええ。階段から(アイツが)落ちて」
「ああ、そう。あれね、すぐ痛くならないで後から来るから。気をつけてね」