第2章 ワインレッドscene1
一軒目のお店につく。
まだ時間は6時半。
ちょっと早かったかな。
薄暗い店内にはいると、まだ客はそんなに居ない。
「あの、すいません。松本きてますか?」
「あ、いらっしゃいませ。今日は見えてませんよ?」
「あーそうっすか。じゃあ、またきます」
足早に一軒目を後にする。
なにしろ5軒まわるのだ。
時間はない。
スマホをみるが、松潤からの着信はない。
まだ充電できてないんだろうか。
念のため、コールしてみる。
繋がらない。
ますます、今日あいつを捕まえてやると燃えてくる。
雨がだんだん酷くなって、足元を濡らしているが気にならない。
アイツのびっくりした顔をみたいがために、俺の足はどんどん前に進んだ。
二軒目は地下のお店。
階段を降りて行くと、すぐ左手にあるドアを入る。
「いらっしゃいませ」
「あ、すいません。松本きてますか?」
「あ、櫻井さん。今日はみえてませんね」
「ああ、そうですか。わかりました。またきます」
二軒目も当たらなかった。
次いこ、次。
そう思って階段を登り始めた。
「あっ!翔くん!」
頭上から聞き覚えのある声が降ってきた。
「あ、まつじゅ…」
見上げると同時に、俺の視界はブラックアウトした。
ものすごい衝撃が上から襲ってきて、俺はたまらず倒れる。
「ってー…」
あまりのことに暫く呆然とする。
俺の上に何か乗っている。
「しょ、翔く…」
「松潤!?」
松潤が俺の上に乗っかっていた。
「ど、おま、どうした!?」
「ごめ…。滑った」
この男、実は天然である。
「翔くん、ごめん。怪我してない!?」
「いや…ちょっと腰打った…かな?」
「ごめん!病院!」
「いやいや、大丈夫」
「どうしよう俺」
「待て、落ち着け」
とりあえず、この体勢をどうにかしたい。
「おま、どけ。重い」
「あっ、ごめん」
店のドアが開く音がした。
「どうしました!?」
「あ、いや、なんでもないっす」
「落ちました?」
「落ちましたね」
苦笑いしながら答えた。
「お怪我はないですか!?」
「多分大丈夫です。お気遣いなく」
「いえ、そういうわけにも」
店長はお店に戻り、おしぼりを持ってきてくれた。