第9章 June bud scene1
赤い紐の両端をギリっと捻る。
「俺から離れていったら、殺すよ?」
なんとも言えない笑顔だった。
「いなくなったら、どこまでも追いかけて行って、殺すよ?」
残酷なことを言っているのに、その姿の美しさは透き通るようで。
「どこにもいかないって、俺だけのものって約束できる?」
吸い込まれるように頷く。
ぐっと、紐が締められる。
息が詰まる。
顔に血液が集まってくる。
早く緩めてほしくて手が宙をかく。
「苦しい?」
頷くと、更に残酷な笑顔になった。
「忘れないで、この苦しさ」
そういうと、紐を緩める。
一気に酸素が戻ってきて、激しくむせる。
苦しそうな俺を見て、その笑顔は更に美しくなる。
「この世で、雅紀には俺だけなんだよ?」
その言葉を聞きながら、俺の意識は遠くなっていった。