第1章 きみどり scene1
「だーめ。終わるまで一緒に住むの!」
「だってあなたも忙しいでしょ!?」
思わず強い口調になった。
大野さんは目をまんまるにして俺を見ていた。
「迷惑…かけらんないから」
どんな状況にあっても、メンバーには迷惑かけられない。
俺には、嵐が大事だから。
俺達の事、家族でも友達でもない、ましてや仕事仲間でもない大事な存在って大野さんが言ってたけど、俺だってそうだ。
「迷惑だなんて思ってないよ」
ぽつりと大野さんが言った。
「俺、かずが大事だよ?大事だから、かずを…もっと楽に居させてあげたいんだ」
みるみる涙声になる。
「ど、どうしたの?大野さん」
「どうもしてない!今はぁ、かずが…かずのほうが大変じゃんか!」
涙声で何言ってるか、わからなくなってくる。
「ぐずっ…俺が、やりたいの!かずの役に立ちたいの!」
きったない顔で、大野さんが泣いてる。
俺のために泣いてる。
ああ、だめだ……敵わない……
「ありがと大野さん」
そういうと俺は姿勢を入れ替え、大野さんの正面に座った。
泣いている大野さんを見たら、なんとも言えない思いがこみ上げてきて。
思わずまぶたにキスをしてしまった。
サイドボードにマグカップを置いて、姿勢を正す。
「ありがとね。泣いてくれて」
また大野さんが目をまんまるにしている。
「じゃあこうしよ?どうしてもだめなとき、大野さんの家にきてもいい?」
無言で、大野さんは頷く。
「毎日はこれないと思うんだ。撮影夜中になることだってあるし。でも。我慢できなくなったら、来ても良い?」
「うん……うん……」
また泣いた大野さんの、今度は頭を引き寄せ、抱きしめる。
「ありがとう。嬉しい」
にっこり笑うと伝わったのか、大野さんも笑っている気配がする。
大野さんの手が、俺の腰に回ってきた。
ぎゅっと力が入って、大野さんも俺を抱きしめた。
ふいに大野さんが顔を上げた。
「かず…さっきのもう一回…」
「え?さっきのって?」
もじもじして、答えない。
「何?」
大野さんが、顔を上げて俺のまぶたにキスをした。
「これ、もう一回…」
やってほしいのね。わかった。
くすくす笑みが漏れる。