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カラフルⅠ【気象系BL小説】

第1章 きみどり scene1


「いいから、たくさん寝てけよ」

「え?」

大野さんは、スケッチブックと鉛筆を放り出してぎゅっと俺を抱きしめた。

「俺と居たら、眠れたじゃん」

「う、うん…」

「だから、寝溜めしてけよ」

またぎゅうっとされた。

「いっぱい寝て元気になったら帰っていいよ」

ああ、優しさなんだな。これが。
この人なりの。精一杯の。

不意に涙が滲んだ。

鼻の奥がツーンとして、たまらなかった。

「も、もう元気だよ?」

「だーめ。まだ満タンになってないもん」

「なにそれ。ガソリン?」

くすくす笑いながらも、滲んでくる涙を止めることができなかった。

「かず、泣いてるの…?」

大野さんが俺の顔を覗き込む。

涙を鉛筆の粉だらけの指で拭おうとする。

「もう、きったない指…」

涙を流しながらも笑いが止まらない。

「ごめん…手洗ってくる」

大野さんがベッドを下りていった。

残された俺は、涙と笑いが止まらなかった。

笑いはすぐに止まった。
でも、心がじんわりした。

大野さんが戻ってくる頃には、涙も止まっていた。

でも大野さんは戻ってくるなり、俺の顔をぐいっと引き上げ、タオルでゴシゴシと擦ってきた。

「いたた。いたいって!」

「もー文句多いなあ」

はい、終わりと大野さんはタオルを離した。

一連の動作が終わる頃、また俺はあの匂いを嗅ぎたくなった。

スケッチブックを拾い上げ、鉛筆を探している大野さんをベッドに引き倒し、思いっきり抱きついた。

「か、かずう?」

「むふふ。あなたがいいって言ったんでしょ?」

「ま、まあ。いいけど…」

俺はまた大野さんの胸で、あのいい匂いを嗅ぎながら眠りについた。

なんとも言えない、ふわふわした気分で。
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