【おそ松さん】マフィア松でスパダリ長兄松に溺愛されるだけ
第5章 慣れない生活【R-18】
そして、私は隠れやすいジャングル薬草風呂へ来た。
ここは、温度が温いから潜伏するにも丁度いい。
のんびりと温泉に浸かっている最中に、人の声が聞こえてくる。
「おきゃくさーん、何処に居るんすかー?」
あの声は、十四松さんだっけ?
そういえば、自己紹介してないから何番目かわかんないけど、消去法でいけば……、五男かぁ。
「おきゃくさーん、一緒お風呂はいろー?」
この世の中で、何処に男性と混浴したがる女性が居るんだろうか?
世の中には混浴風呂もあるけれど、それは好きあってるカップルが入るもの。
「ここには居ないみたいだなー」
できるだけ水の波紋を作らないように、じっとしている。
その時、気づいてしまった。
水の波紋のせいで、身動きできない事に……。
これは、非常にまずい。
「兄さん達ー、ここには居ないよー?」
でも、大きい水の音を立てながら、声はだんだん遠くなってくる。
そして、完全に聞こえなくなったのを確認すると、私はため息をついた。
逃げるために、木に干してあったタオルと手に取ると、急いでお風呂から出る。
この時、『もう大丈夫』と安心していた為か、ついばしゃばしゃと音を立ててしまった。
「――あ、やっぱあっちに居るんじゃね?」
「ったく、兄さん達、女の子を追い回すの止めなよー!!」
ヒィィィ!!
岸辺についた私は、慌ててお風呂から脱出すると、手早くバスタオルを巻いて走りだす。
ここの温泉は一面白い砂浜になってるせいか、走りやすくて助かった。
そして、近くに岩場に逃げ込む。
そこは、睡蓮の花びらが浮かんだ幻想的な風呂場だった。
でも、明らかに温度は高め。
そのかわり、何個か岩がおかげで、隠れやすいのは確か。
真後ろからは、追手の足音が聞こえるから……、私は仕方なくタオルをつけたまま、するするとお風呂に入る。
そして、一番後ろにあった大きい岩陰に隠れた。
「えー、こっちだと思うんだけどなー?」
「もう放っといてあげれば? 本人も裸見られたくないんだろうに」
うわぁ、こっちやってくる……?
そっと聞き耳を立ててると、熱いお湯のせいで手足がちょっと痛い。
我慢できるのも時間の問題かも。