第3章 女神様、見えるようになる
ヴィクトワールは、涙目でシャンスの方を睨みつける。
シャンスは、苦笑しながら頬をかいた。
カラ松「――あーあ、お前なぁ……」
おそ松「あれ、駄目?」
カラ松「二人居るんだよ」
おそ松「あっちゃー、悪い悪い」
カラ松は、仕方なくもう一回お金を入れれば、今度はヴィクトワールが葡萄味のジュースを購入。
そして、また当たりに止まった。
おそ松「へー、俺の時は当たんなかったのに」
不思議そうな顔で自販機を見つめるおそ松の横では、シャンスとヴィクトワールが無邪気な笑顔でジュースを飲んでいた。
カラ松は、余った残り二本を回収して、また歩き始める。
しかし、その先でまた自販機が。
じっと双子は見つめるものの、カラ松はスタスタと歩いて行く。
シャンス「カラ松」
ヴィクトワール「マスター」
カラ松「もう買ったろ? 帰るぞ」
シャンス「ちぇっ」
ヴィクトワール「あれ、違う葡萄味ですよ? しかもゼリーですよ?」
カラ松「また今度」
ヴィクトワール「いつですか? 予定立ててくださいよ!」
カラ松「また、明日来るから」
双子は、暫く動かなかったが、カラ松はどんどん進んでいくため仕方なく後ろを追う。
その間も、双子は口をそろえて「けち!」と文句を言い続けた。
そんな二人に、ついついカラ松は笑ってしまう。
おそ松「どした?」
カラ松「さっきの自販機でまた買えってさ」
おそ松「ったく、買ったばっかだろー?」
カラ松「そう言うんだけどなぁ」
「「けち!!」」
おそ松は、くつくつと笑いながらカラ松と並んで歩く。
おそ松「まだ残ってるだろ?」
シャンス「ゼリーなんだぞ、ゼリー!!」
ヴィクトワール「ゼリーですよ、ゼリーを飲めるんですよ?」
カラ松「ゼリーがいいんだと」
おそ松「ははっ。明日兄ちゃんが買ってやっから」
ヴィクトワール「今がいいんです!」
シャンス「どうせ、明日になったら忘れるだろ!?」
にかっと笑ってるおそ松の周りを、双子はぐるぐると飛び回る。
そんな光景を、カラ松は一歩下がった所から眺めていた。
そして、ぽつりと「賑やかだなぁ」と呟いた。