第1章 厄介事はお断り
「皆、あ、相手決まったんだけど……、その……」
「おうおう、委員長、誰もいいぜー!!」
「そうそう、どんな奴でもバッチコーイ!!」
クラスが盛り上がる中、委員長が気まずそうな顔でクラスの皆を見つめてる。
「なぁ、くじ運悪くたって気にしないぜ?」
そう、ハチに言われると、委員長はおずおずと口を開く。
――嫌な予感がする。
「ごめん、F6が勢揃いしてるA組」
――あぁ、やっぱり。
でもまぁ、まずワンセットは取れないからズボンを脱ぐことはないと思うけど。
そう、高をくくってた。
でも、いざ試合が始まれば、A組は如何にも弱そうなひ弱な男子ばかり出してくる。
そして、うちの連中ときたらバカの一つ覚えでワンセット取りやがった。
そして、嫌な予感は的中。
「そこのお姫様ー、ズボン脱いでくれんだろー?」
F6リーダー、おそ松から野次が飛ぶ。
あーあ、全部知られてたってわけか。
おそ松は、にやにやとした顔で俺を見てる。
その横に居る末っ子だけは「兄さん、痛い目見るよ」と睨みつけてた。
俺のクラスの奴らは、何かを察したように気まずそうに俺を見つめてる。
ここで、俺が逆らうと俺のせいでクラスのやつを危ない事に巻き込むんだ。
「この野郎……!」
飛びかかりそうになるハチを抑え、俺はズボンを脱ぎ捨てる。
「はい、これでいいんでしょ?」
こんな日に、変なポリシーなんて持ってくるんじゃなかった。
そうため息をついた瞬間だった。
「すっげー!! マジ天国!!」
「こら、十四松兄さん!」
真下を向けば、いつ潜り込んだのかわからないけど、俺のスカートの下に人が居た。
この顔は、明らかに六つ子の一人。
黄色いパーカーを着てるけど、何番目かは知らない。
でも、確実に言える事はパンツ見られた……!
「色っぺー!!」
「――!! 帰る」
今日の日くらい、この下着は自重すればよかった。
いくらこのチア服が可愛いからって、変にうかれて着てこなきゃ良かった。
くそっくそっくそっ!
下着は見られるし、ハチが変なこと言うし、今日は本当にツイてない!
顔は熱いままだし、もう最悪!