第1章 厄介事はお断り
そして、チア服も無事に届き、F6からの接触もないまま平和に体育大会当日。
俺は、未だにあの下着を履くか悩んでいた。
その結果、あの下着は履くものの、ジャージも着用。
案の定、クラスの奴らからブーイングはきたけど、ハチは何処か納得してるようだ。
でも、やっぱ可愛い服には可愛い下着を着用したいっていう俺の変なポリシーが邪魔した結果が、これ。
「脱げよー、!!」
「ヤダ」
体育館に集まり、くじ引きに行ったイインチョーを待ってる間、こうしてクラスの奴らからズボン脱げコールを受けてる。
他クラスのチア達も、ズボンを履いてヤル0な俺を見て驚いていたけど、知ったことか。
「そうだなー、お前らどうせワンセット取ったら脱いでやる」
「ほ、本当かー!?」
「よっしゃー、気合入れていくぞー!!」
――ま、こういうのもいいかもね。
「ただし、負けたら速攻着替えるから。そこんとこ、よろしく」
「いいぜー、いいぜー!! 決勝まで頑張るぞー!!」
「「おー!!」」
一致団結してるクラスメイト達を見て、ハチは優しい表情で笑ってた。
パット見ゴリラだけど、コイツのこうした優しい表情は嫌いじゃない。
「、お前もつくづく甘いな」
「ははっ、ハチに言われたくないから」
一番コイツ等に甘いのは、ハチ、お前だって知ってる。
俺がツンツンしてて、クラスに馴染んでなかった時だって、クラスメイトっていう理由で俺の壁をぶち壊してきたし。
――本当に、お前は甘いやつ。
そういう所が、一番好きだよ、ハチ。
ハチが隣に居ると、安心する。
「あ、そうだ、」
「ん、何?」
「チア服、着てくれてありがとうな。似合ってるぜ」
ハチの奴、時々かっこよくなるから困る。
ったくもう、ポーカーフェイスが俺の売りなのに。
「――馬鹿ハチ」
こんな所で、顔熱くなって、どうすりゃいいのさ。