第3章 冒険へ行こう
おそ松「へぇ、本当に好きなんだ?」
「は、はい。しっ、真剣にお付き合いを考えてます……!!」
怖くて一旦下げた頭が上げられない。
おそ松「――でもさー、前勘違いした時、ショックと思ってなかったよな?」
「へっ?」
よくよく考えてみたら、そうだった。
あの時は、焦ってどうすればいいかわからなくて……。
おそ松「あのさー、今も焦ってるから一瞬の気の迷いだと思うけど?」
「きっ、気の迷い……?」
驚きながら見上げると、おそ松さんは目が合った瞬間ニィっと笑い、そしてゆっくり私の頬を撫でる。
おそ松「ねーねー、俺のこともっと知ってからでも遅くないじゃん?」
――あれ、何かお兄さんの様子が可笑しい。
一歩下がれば、また一歩距離を縮めてきて、気づけば背中には壁。
おそ松さんは、ドンッと音を立てて壁に手を付けた。
目を細めて、獲物を狙うように舌なめずりするおそ松さんを目の前に、腰が抜けた私はずるずると壁伝いに腰を抜かしてしまい……。
「ヒッ、ちょっ、ま、待って……!」
得体の知れない恐怖に涙が零れそうになりつつも、必死に身体を縮こまらせた。
おそ松「なぁ、そんなに怯えんなって」
顎をクイっと持ち上げられ、強制的に視線と視線がぶつかり合う。
その時、おそ松さんは柔らかく笑い、私をあやすように頭を撫でた。
おそ松「やー、可愛いねぇ君。よく言われね?」
小さく首を横に振ると「えー、嘘だー」と笑い返される。
でも、言われたことは本当に無いから。
おそ松「ふーん、男慣れしてないんだって?」
こくこく、と必死な思いで頷けば、おそ松さんは満足そうに笑った。
そして、私の身体を回転させたと思えば、何故か私はおそ松さんの膝の上に座ってる形になってて。
「へっ? へっ?」
おそ松「ほーらほら、慣れるための特訓特訓」
「ひぃっ!!」
耳元で囁かれて、顔が一気に熱くなる。
ぎゅっと抱きしめられてるため、おそ松さんと身体が密着してなんだか変な感じ。
さっきのカラ松さんとの時より危ない気がする……!
一生懸命身を捩って逃げ出そうとするけど、全然びくともしない。
「やっ、やめ!!」
おそ松「いや~、これ特訓だから。君のためだよ~?」
そう言われても、これは無理だよ!