第3章 冒険へ行こう
すると、さっき席を立ったカラ松さんが真っ白で分厚い本を片手に戻ってきた。
カラ松「ほらよ、これ読んでみな」
ぽいっと投げられて受け取れば、それは白魔道書。
そっかー、これは読んだことないもんね。
おそ松「おいおい、そんな本なんで持ってたんだよ?」
カラ松「んー? 騎士たる者、魔法が使えなくとも白魔道書は読破するべき物さ」
おそ松「へーっ、なんか面倒そうだな~」
そっか、この二人はさっきソードマン専攻って自己紹介してたもんね。
カラ松「君、エルフの血を引いてるだろ?」
「はい、そうですよ」
よくわかったなぁ。
ここに来て、皆から「エルフ?」って聞かれる事が多いけど、そんなにエルフと似てるのかなー?
カラ松「普通、エルフは森に住むエルフと谷に住むエルフの二種類存在する」
「へっー、森に住んでるエルフも居るんだ」
凄いな~って思って、何気なく呟いた時だった。
周りに居る全員が「嘘ォ!?」と大きな声を上げる。
――あれ、可笑しいの?
チョロ松「ったく、トド松の奴つっかえね~なぁ!! 何処のエルフかくらい、聞いとけよボケェ!!」
ま、まぁまぁ。
誰もエルフが二種類あるとか思わないよ。
カラ松「一般的なエルフは、森に住むエルフ。谷に住むエルフはとても希少種で、目撃数も少ない。特徴的なのは、エルフなのに白い天使の翼を持つことだ」
「そうですねー。一応、お婆ちゃんもお父さんも羽ありますし」
まぁ、その羽は大人になる行為……、えっちをしなきゃ生えてこないんだけどね。
羽が生えるのが嫌で、なかなかえっちしないエルフが多いってお婆ちゃんは言ってた。
カラ松「もう一つの特徴が、谷エルフは白魔法以外扱えない。まぁ、森エルフの血が入れば、逆に白魔法が使えなくなる」
「――あれ、ってことは、今までさんざん魔法の練習をしたのは?」
チョロ松「ぜぇーんぶ、無駄」
「え、え、え、えぇぇぇぇー!?」
一松「――でもさ、君、羽無いね」
「あ、あはは。それは、まだ子供な証拠ですよ。それに、ハーフは魔力の質によって生えない人が多いって言うし」
ス、ストレートに聞くなぁ、一松さん。
皆恥ずかしくて出来ない質問なのに……。