第2章 ハルハウララ
私と田中さん、ノヤさん、そしてスガさんは数分歩き、閑静なマルチコートに到着した。
「ノヤさんここ使っていたんですね、近所なのに知りませんでした…」
「数週前に見つけたばっかだからな!自主練にちょうどいい場所だろ」
「小夜ちゃん、バレーの基本的なルールは知ってる?」
「はい、たまにテレビの中継で観たりしてるので少しだけなら…」
「そっかそっか、おっけ!」
にこーっと笑うスガさん。何度見ても素敵だ。
「バレーには4つポジションがあるのは知ってるか?」
「ええっと…セッター?しか名前知らないです…」
「セッターはスガさんのポジションだな!スパイク前のトスをあげる役割があるんだ」
「いぇいっ」
「なるほど…ほかの3つはどんなものなんでしょうか?」
私がそう聞くと、3人は顔を見合わせた後、にやりと笑う。
「そこは実演がてら説明するか!」
「「うぃっす!!」」
「ノヤさーん!このあたりでいいですか?」
「おーばっちりだ!いつでも来い!」
言われた場所から、ネットの向こうにいる3人の中でも最も遠くにいるノヤさんのところへボールを投げた。
「え…?」
そこからはすべてがスローモーションで見えたような気がした。
私の投げたボールは、ノヤさんからスガさんへ、スガさんから田中さんへ綺麗に渡り、田中さんの打ったスパイクは私の斜め後ろへ直線に落ちる。
「す…」
「小夜どうした?びっくりしたか?」
「田中さん!!すごい!!」
こんな気持ちになったのははじめてだった。
高まった気持ちが波のように押し寄せて、ただもうすごいとしか言えないのがもどかしい。
この気持ちを伝えたい、伝えなきゃ…―――
「私…バレー部の一員になりたい、皆さんとチームになりたい、です」
いつのまにか流れ出していた涙を止める術も知らず、ただただ一番に頭に浮かんだ言葉をありったけの気持ちで口にした。
ふと顔をあげると、3人はぽかんとした顔をしていたが、やがて各々が口を開く。
「当たり前だろ?小夜のことをチームの仲間って思ってない奴なんていないぜ?」
「田中さん…」
「これから俺たちのこと、しっかり支えてくれな」
「スガさん…」
「これからよろしくな、小夜!」
「ノヤさん…皆さん、よろしくお願いします!!」