第1章 そのときまでおやすみ
―夢を見た。
朝の音を聞いて 隣にいる人とわらいあって
昼の匂いに包まれて つないでいた手が離れ
夕日が沈むのを見て 私は灰になった。
いかないで いかないで…―
目覚ましの無機質な音が耳に響き目を覚ます。
うるさい。布団をかぶったまま手探りで時計を探す。
あ、あった。
かちりと鳴った後目覚ましはおとなしくなり、再び秒針が静かに呼吸を繰り返しだした。
しばらく布団の中で二度寝を試みたものの、今日はなんだか調子が悪くてうまくできなかった。私は諦めてもそもそと布団から身をはがしてゆく。
「うう、さっむ…」
スリッパを履きブランケットを羽織る。時計をちらりと見る。今日は割と早起き。
「小夜ー?起きたのー?」
部屋でぼんやりとしていたら、下の階からお母さんの声が聞こえた。軽くのびをしながら少し声を張って答える。
「起きたー」
「ごはんできてるよーおいでー」
「うーんわかったー」
明かりの点く階段を小走りで降り、ダイニングに行くとお母さんがいた。
見馴れたエプロン姿に低めのポニーテール、ゆるくパーマのかかった髪がふわりとゆれる。身内の贔屓目に見ても、お母さんはきれいだと思う。
私の前にはトーストと目玉焼き、お母さんの前にはオムライスとポタージュ。
向かい合い、手を合わせた。
「「いただきます」」