第2章 ひとつめ。
side 名無
最近、自覚した事がある。
名無は、自分なんだ。
それで、私、なんだ。
時間感覚すら曖昧になってしまったこの体質。
いつから寝たきりになったのか、とか。
私はいつから表情を消してしまったんだ、とか。
そう言う〝いつから〟が全く思い出せない。
身体は、動かせると思う。
動かし方も忘れてないし、動こうと思えば動ける。多分。
でも、その先が解らない。
身体を動かして、何をしたいのか。
目的も無く何かをするのは、やだ。
考えも無しに行動するのだけは、絶対にしたくない。
がちゃ
あ。扉が開く音だ。
今日も、十四松くんが来たのかな。
おそ松「えーと、初めましてだよな。一応。
・・・俺、おそ松ってんだ。んでこっちが・・・」
カラ松「フッ・・・カラ松だ。
弟が世話になったらしいな・・・礼を言いに来たぜ、子猫ちゃん」
違う、人。
でも・・・十四松くんと同じ顔。
そう言えば、六つ子って言ってた。
この色は、確か・・・アカ。
夕方になると見える夕焼けの、イロ。
隣に居る人の色は、アオ。
夏に広がってる空のイロ。
おそ松「カラ松~、お前初対面からイタ発言すんなっての。
名無ちゃん引いてたらどうすんの?」
カラ松「え・・・今の痛かった、のか?
くっ、傷つけたくないというのに・・・っ」