第2章 ひとつめ。
十四松「・・・!!」
ふと、十四松くんの動きが止まる。
キラキラした表情から一転、ビックリしてる表情。
どうしたんだろう。
ガチャ
と、思ってたら今度は扉が開く音。
そちらを見れば、十四松くんとは色が違うパーカー。
あれは、確かムラサキ。
昼から夜になる時に、重なったグラデーションのイロ。
十四松くんを見つけてこっちにやって来る。
一松「やっぱここに居た・・・」
十四松「・・・」
一松「・・・十四松?」
十四松「・・・あ、一松兄さん・・・!」
一松「え、なに」
十四松「見て!見て!!
名無ちゃん、笑った!!!」
一松「・・・は?」
は?
紫色のパーカーを着ている青年と同じように、自分もそう思った。
笑った?
わらった?
誰が?
なんで?
一松「・・・笑った?
だってこの子植物状態っつってたじゃん」
十四松「でも身体は動くってデカパン博士言ってたよ!
あっ!名無ちゃん、この人おれの兄さん!」
一松「・・・・・・松野、一松」
十四松「松野って言うのはおれ達の苗字!
おれ達六つ子なんだ。みんな同じ顔なんだよ!!
おれが五男で、一松兄さんは四男!」
一松「・・・で。笑ったって、マジで?」
十四松くんの弾けそうな笑顔とは対象的に、気だるそうな表情の一松・・・くん。
笑った、と言うのは自分の表情らしい。
自分でも無意識だったからそんな事言われても・・・と、2人の視線に困った。