第2章 ひとつめ。
十四松くんが自分の所に来て、博士に追い出される。
そんな事が、ずっと続いた。
時間が解らなかったこの部屋も、十四松くんが来て帰ってく時間が増えた。
いつも、笑顔で。
まぶしくて。
おひさま、みたいで。
とても、まぶしくて。
ぽわ、
と。なにか、色の無い自分になにか。
増えた、気がした。
そんな、気がした。
十四松「名無ちゃんっ!」
自分に向かって、もったいないくらいの笑顔。
そして、いきなりの・・・。
ピューっ!!
放水。
耳の穴から。頭のてっぺんから。手の指の先から。
え、何これ。
思ってもみなかった十四松くんの行動に、久方ぶりに目をぱちぱちと瞬かせた。
少しして放水をやめ、かと思えばまたピューっと放水。
十四松「どう!どう!?
おれの新技!!」
新技、と言うか・・・これは人間業なのだろうか。
自分の記憶が正しければ人間が成せる技ではなかったはずだ。もし出来るのだとすれば、それは人間じゃ・・・・・・ああ、十四松くんだからなのか。
そう結論付けながら、十四松くんを眺める。
・・・はて、十四松くんは何をしたいのだろうか。
ぼんやり考える。
そうやって、十四松くんの新技なるものを何回か見ていた。