第1章 第一章
数分間宙を舞い続けてやっと山奥に到着した。
「今夜だけです。明日になったら宿を借りましょう」
宗次郎が微笑んで言った。
うわぁ・・・・・・凄い・・・・・・。
大木が鬱蒼と茂って、森林の香りがして、まるで神様が居るみたい――。
「そうだ、マッチ濡れているんだった・・・・・・」
宗次郎は日本刀を取り出し、日本刀についている血を拭いて、
「あ、刃こぼれすると悪いから・・・・・・」
と刀を鞘に収め、何かを探し出した。
「何を探しているの?」
「石ですよ。火を起こせる石を探しています」
と言った。
私も石を探すのを手伝い、
「こんな石でいいかな?」
と見つけた石を宗次郎に渡すと、
「見つけるの上手いですね!ありがとうございます」
と宗次郎が私に微笑んだ。
私・・・・・・今、少し宗次郎の役に立てたんだ・・・・・・嬉しい!!
宗次郎が石と石をカチカチと合わせて火を起こした。
集めた小さな枝に火が燃え広がってゆく。
「時音さん、そちらには雪がありますから、もっとこちらへ」
宗次郎が手招きする。