第1章 始まり
「…………っ。」
一瞬、目と目が合う。
彼のその少し微笑んでいるような瞳に目が離せなくなる。
……ドキン、……ドキン
私は高鳴る胸の鼓動をおさえることができなかった。
「君の音楽を聴いていたら、いてもたってもいられなかったんです。
だから……その、すみません……。」
「あ……いや、だい、じょ……ぶ……。」
私はまともな言葉が出なかった。
そのくらい、私は彼に見入っていたんだ。
「でも、良かった……。」
「えっ……。」
彼の顔が少し近づいてきた。
彼はとても温かく、そして優しい瞳で私を見つめた。
「貴女の涙が止まって……。」
そう言い彼は、私の目に残っていた涙を、彼のしなやかな指で優しくすくいとってくれた。
(……彼が抱き締めてくれなかったら、きっと私は…まだ………。)
ドキン、ドキン、ドキン……
私の胸の高鳴りはどんどん加速していった。
その時
……バンッ
ドアがおもいっきり開いた。
……と、同時に二人の男性が入ってきた。
「ジャジャーーンッ!!れいちゃんあーんどランラン参上っ!!
って、あれあれ?トッキーいたの??
てか、その女の子だれだれ?
あっ、トッキーの彼女とか!?」
「こ、寿さんっ!?
違いますよ、彼女は……」
「おい、うるせーよ、嶺二。」
寿さん……嶺二……。
(ってことは、この人が部長さん!)
私は活動場所とともに部長の名前を訊いてあった。
(ってゆーか、私最初の目的忘れてたっ!)
私は部長……寿さんに駆け寄る。
「あ、あのっ!」
嶺二「ん、なあに?
トッキーの彼女さん?」
「ですから寿さん……
私の彼女では…………っ!」
そして、大きく深呼吸をした。
「私を音楽部に入部させてくださいっ!!」