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【うたプリ】君の歌が聴きたくて

第1章 始まり


*優姫視点*


顔を上げ、ドアの方を見るとそこには、驚いた様子の男性の姿があった。


「あっ…………」


見られてしまった。
聴かれてしまった。

「あ、えっと、その……」

私はどうすればいいのかわからず、ただ、うつむいていた。




すると、


タッタッタッ……


誰かが私に駆け寄る音がした。

そして


グイッ……


私の腕を何かが引っ張った。

そのまま私の身体はさっきまでドアの近くにいた人の身体に包まれていった。


「……っっ!!
あっ、あのあのっっ!」



急に抱きしめられ、私はもの凄く戸惑った。

でも、彼は離してくれそうにない。

それどころか、抱き締める力は強くなる一方だ。



(……もう、限界……)


ドンッ


私は精一杯の力で彼を突き飛ばした。



「はぁっ、はぁっ……。
い、いきなり何っ……!」

「あ……。すみません……。
君のその泣き顔を見てしまって……。つい……。
嫌……でしたよね……」


確かに突き飛ばした挙げ句に少し怒り気味の口調だと、そう思うかもしれない。


(だけど……)




「……じゃ、……った……」

「え……?」








「嫌……じゃ、なかった」



そう……嫌じゃなかったんだ。
ただ、恥ずかしかっただけ……だから突き飛ばしてしまった。

(でも、そんなこと言えない……)


そして、私は彼の顔を見ながら、こう、言葉を続けた。


「だって、あなたは私を慰めようとしてくれた……。

……そうでしょ?」


「……ええ、その通りです。



……ですが、それだけではありませんよ」

「えっ……」


音楽室の窓から入る風が彼の髪を揺らす。








「君の奏でる音楽が、あまりにも素敵なものだったから」


彼は真っ直ぐ、そう言ったんだ。



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