第1章 始まり
~♪ただ 側にいて欲しい
それだけで良かった それだけで
どれだけ 願っていても
あなたはかえってこない わかってる
けど…… 逢いたい…… 逢いたい……
その歌は聴いたことのない曲だった。
きっと彼女が作った曲だろう。
(それにしても……歌も曲も……素晴らしい出来だ)
ふと、彼女の顔を見てみた。
「…………っ!?」
彼女は頬に綺麗な涙を流していた。
私は驚いた。
こんな綺麗な涙を流す人もいるんだと。
もっと、彼女の歌を聴きたい。
もっと、彼女を見ていたい。
そんなことを願っていた。
……その時。
ピアノの音色がピタリと止まった。
彼女が私に気づいたからだ。