第6章 綾人について
翌日、彼女は約束通り喫茶店にやってきた。
短いスカートと、肩のあいた服。肌を晒して僕を誘ってるの?
店長に休憩をもらって、彼女の隣に座る。
携帯に僕の連絡先を入れたのは、もちろん吸血鬼とばれてしまった以上、彼女の身の責任を負わなければならない。
僕自身が血を吸ってしまうことがないように、僕のことを忘れないようにという意味で、決して、個人的に連絡先を交換したかったわけじゃない。
しかし、綾人は兄を探すことで精一杯だった。
長時間人間界にいることは精神的にも負担がかかる。
もちろん綾人には薬の副作用で、免疫力が落ちていた。
吸血鬼ゆえに死ぬことは滅多にないが、弱ることはある。
兄が見つからないストレスと、精神的負担、そして薬の副作用で心も体もボロボロになっていた。
そんな中、千夜から電話がかかってきた。
そして、千夜に強くあたってしまった。
ストレスをぶつけてしまった。
千夜を深く傷付けてしまった。
そんなこともありつつ、綾人は大学に入学して人間と関わり兄の捜索を続けていた。
そうして、やっと兄の手がかりを見つけたと同時に衝撃なことを耳にした。
千夜と兄が付き合っているということを…