第6章 綾人について
「あれ?君は…」
思い出したよ。喫茶店であった女性。
「ねぇ、ちょっと時間ある?」
ナンパじゃなくて、これは…
ばれてしまった以上、彼女のことは忘れられないし、放っておけないから仕方がないこと。
喫茶店で彼女と会った時は、僕のこと好きそうな目で見てたしついてきてくれると思ってた。
だけど、彼女は逃げ出した。
「待って…」
彼女は僕の言葉も聞かずに逃げてしまった。
だけど、心配いらない。
僕は嗅覚が鋭い。
いくら麻痺させる薬を飲んだからって彼女の匂いくらい覚えられたし、探すことだって出来る。なにせ、とてもいい香りがしたから。
兄の匂いじゃこんなこと出来ないけど。
そして、僕はすぐに彼女を見つけることが出来た。