第1章 プロローグ
結局、しばらく悩んだ末に、両方買うことにしたみたい。
そこが、莉奈らしいというか。
「ごめんね、時間かかっちゃって…お詫びにというか…ちょっと休憩しない?」
そう言って、莉奈は最近出来たばかりのカフェに案内した。
莉奈は、行ってみたかったんだ、と嬉しそうに言って、窓側の席に座る。
私は、ココアとガトーショコラを、莉奈は、抹茶ラテとホットケーキを頼んだ。
「お待たせいたしました」
やや低めで耳触りのいい声。
身長は高めでスラッとしたモデル体型。
どこか冷たい表情と優しい目をしている。
それが、私と彼の喜劇的な出会い。