第5章 太陽と海と私たち
「っだから言ってたのに…んで、大丈夫か?」
ん?え?綾人?目の前には綾人がいた。
よく分からないけど、ちょっとどういうこと?
「ねぇ春陽は?」
周りを見渡しても誰もいない。
それに、水着を着ていたはずなのに、洋服に着替えさせられてる。
そしてここは、どこ?
「あいつはもう帰った。ここは僕の家。ってかまだ分かってねぇの?」
呆れた顔の綾人。
そして、こう続けた。
「あいつ、春陽も僕と同じ吸血鬼。お前、血吸われそうになってたから」
そう言えば、首元痛かった気がする。
そこを触ればガーゼが貼られていた。
「大丈夫。吸われてないから」
「そっか…だけど、私…春陽になら吸われてもいいけど…ね」
小声で言った。
聞こえてないと思っていたけど、どこか綾人は切ない顔をしていた。