第2章 桜降る季節
「吸血鬼…って本当に吸血鬼?血を吸う吸血鬼?」
「それ以外何があるの?」
そう言ってニヤリと笑う綾人は、八重歯というよりキバというべき歯を見せていた。
「だから…僕はいつだって君の血を吸えるってこと」
耳元でささやく綾人の声に、全身が凍りつく。
綾人は私の首元を指でなぞる。
「じゃ、君の携帯に僕の連絡先入れておいたから、僕が呼んだらすぐに来るんだよ」
綾人は私に手を振ってから、席を外す。
携帯を見れば、本当に綾人の連絡先が入っていて、いつの間に入れられたのだと疑問に思いつつも、頬が緩む。
いや、怖いよやっぱり、でも……仲良くなれそうならそれは少しだけ嬉しいかも。