第33章 やるならみんなで
結局いなかったことしか収穫がなかったと会話をしながら大通りへ戻ろうとすると、反対方向へ進む人影が見える
自分たちだってそうだがこんな時間に?と疑問に思い怪しまれない程度に見ていると、向こうから声を掛けてきた
「おや、緑間。高尾も一緒か」
「…赤司、なぜここに」
「昔みんなで初詣に来ただろう。居ないかと思ってね」
「いなかったな、神社の中とか隠されてたらわかんねーけど」
「流石にそこまではしないだろう…そうか、ここもいなかったか」
「百人一首大会の会場だったとこもいなかったのだよ」
「つーか赤司毎日色んなところ言ってんじゃん、へーきかよ」
「これくらいなら大丈夫だよ」
そう言いながら彼はスマホを取り出し素早く操作を始め、何かの決済音と共に操作が終了するとスマホを仕舞う
何もなかったかのように回れ右をして緑間と高尾と同じ方向へ歩き始めたのだが、その決済音が気になった緑間が彼に問いかける
「何か買ったのか」
「ああ、新幹線のチケットだ。これから京都に行ってくるよ」
「…今から京都だと?洛山の激励か?」
「まあそれもあるが…1番は名前を探しに行くためだよ」
「は!?京都まで?!」
「修学旅行で行ったのと…もう1つ可能性があってね、洛山にもお邪魔してくるよ」
「はぁー…すっげえな赤司。結構報告来るけどどんだけ巡ってんだ?」
「さあ、中学の頃行った夏祭り会場や小学校も行ってるから数えていないな」
「ストバスコートもひたすら巡ってるだろう」
「ああ。落ち着かなくてね」
事実、どこに行ったと毎日赤司からメッセージがポンポン飛んで来る
それは練習日だろうと試合の日だろうと届いており、私生活も暇ではない彼の体調が心配になるほどで、緑間が思わず足を止めた