第3章 矛盾の味
「な、なるようになれ…!」
えいっ、と勢いに任せたキスをした翔さん。
1秒も触れない、ほんの一瞬だけ重なり離れて行く。
「…もっかい」
「や、やだよ…」
「ふーん。
してくんないんなら首やっちゃお」
翔さんはこう見えて首が弱い。
悪い顔をして翔さんをニヤニヤと見つめる。
どうやら俺は少しSっ気があるようだ。
と、最近になって知った。
「ちょ、マジで?」
「マジ。いただきます」
翔さんの背後に回り、ちゃんと挨拶をしてから首筋に吸いつく。
勿論噛んだりキスマークをつけたりして、痕を残すようなことは絶対にしない。
翔さんを傷つけることも、嵐を危険に晒すことも…どちらもしたくないから。
「う…ゎ…」
そんな俺の思いを知らない翔さんはというと。
目を固く瞑り、なんとか耐えようとしている。
そういうところもまた愛らしい。
首筋にチュッチュッとキスを落としたり、舐めたり、手でなぞったりして反応を楽しむ。