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【嵐小説】嵐色〜甘い味〜

第3章 矛盾の味


「そーですね。

“ ニノ ” はメンバー想いですから」


そう暗く考えている自分がバカバカしくて、乾いた笑みを心の中で浮かべる。


「あ、ごめん和。ついいつもの癖で…」


仕事上はニノ、2人きりの時は和。


プライベートで2人きりよりも、仕事で一緒に居ることの方が多い。


だからニノという呼び方が染みついているのは分かる。


俺は仕事でもプライベートでも “ 翔さん ” だから苦はないけど。


それを使い分けなきゃいけない翔さんは大変なんだろう。


うつ伏せになった姿勢からイスの上に正して座り、申し訳なさそうに眉を下げる翔さんを見ていると怒る気も失せて来る。


「悪いと思ってんならキスしてください」


翔さんの正面にイスを持って来て座り、ん…と唇を突き出す。


「えぇ…」


情けない声を出す翔さん。


それもその筈、普段は俺からする方が多いのだから。
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