第3章 矛盾の味

「ちぇっ…」


「でもさ、ニノってマッサージ上手いね。

なんだか気持ち良くなっちゃった」


クスクク爽やかに笑う翔さん。


「…褒めても何も出ませんよ？」


翔さんは素直に言えるけど俺にはそんな真似出来ない。


だからいつも悪態をついてしまう。


皆なら、翔さんなら分かってくれていると思ってはいる。


けど、いつか嫌な奴だって思われて愛想つかされるんじゃないかって思う日もある。


それは決まって…メンバーが笑顔じゃないソレを浮かべている時だ。


些細なことにも敏感に感じ取り、勘繰り過ぎてしまうことが最近更に多くなった。


「知ってるよ。ありがとう、ニノ」


そんな不安は翔さんの優しい声や笑顔で吹き飛んでしまう。


現れては吹き飛び、現れては吹き飛びを幾度となく繰り返す。


無限のループにハマってるしまっているんだ。


それでも嵐が居る限り、己の不安で壊れてしまうことはない。


嵐こそが、嵐だけが生き甲斐でもあるんだ。