第3章 矛盾の味
「んー…じゃあお願い」
翔さんは意外と押しに弱い。
俺が頑固でなかなか引かないからかもしれないけど、いつも譲ってくれる。
「じゃ、ヤりますね」
「イントネーション気をつけてね」
「なるべくなら」
流石は翔さん、細かいところによく気づく。
でもなるべくとしか言えない。
だって翔さんと居ると自制心が効かなくて我慢出来なくなっちゃうから。
と、心の中で苦笑する。
「ん…」
背中に手を当てマッサージを始めると、翔さんが小さく身じろいだ。
「痛い?」
「んーん、気持ちぃ…」
気持ち良さそうに目を閉じリラックスしている。
そんな翔さんに気を良くし、手際良く手を下へと持って行くと…。
「そっから下はやらなくていいよ」
翔さんの目がパチッと開いて、止められた。
「ダメなの?」
「うん」
ここだけは引かない翔さん。