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【イケメン戦国】私と猫と

第25章 桜の咲く頃  二幕(六歳)


三成が去って四日ほど
間も開かずにやってきた秀吉と光秀に、幸村はあからさまな表情を見せる
兼続も同様だ

湖の乗った馬の手綱を引き、ちょうど城門から出ようとしたところにばったり出くわした五名

「げ…」
「…またでございますか…」
「え…じゅうべ…んっと…えっと…」

馬に跨がったまま目の前の二人を見て、名前を思い出そうとする湖に

「秀吉だ。元気にしてたか?湖」
「光秀。馬に跨がれるようになったか」
「あ。そうだ!ひでよしさまと、みつひでさまだ。こんにちは」

にこにこと笑う湖は、桃色の着物に紫の袴を着て、髪を高い位置で一本に縛っていた
どこから見ても、武家の娘のような姿だ

「かねつぐ、おうまさん。あとでいいよー。ととさまと、けんしんさまのとこ、いこう」
「…そうするしかありませんね…今日は行けなくなりますが、湖様…よろしいでしょうか?」
「うん。だいじょうぶ」

幸村は、湖の腰元を持つとその体を馬から下ろす
降りた湖は、兼続から手綱を渡されると

「湖様、幸村殿と馬を戻してから広間へお越しください」

と言われ、手綱を片手に、反対の手は幸村を繋ぎ二人には
「あとでいくねー」と言い歩き去って行く

しばしの沈黙の後、秀吉は

「なんか…しばらく見ないうちに…しっかりしてきたな」

と、言葉を漏らす

「そうか?あの格好のせいだろう」
「いいえ。湖様は、しっかり成長されております…用件を聞き、此処でお引き取り願いたいところですが…湖様の手前、そうも行きませぬ…ひとまず、広間へお越しください」

光秀の言葉をきっぱり否定した兼続は、ため息交じりに二人を城へと招き入れる
城内に入れば、謙信と信玄に伝言を届けるよう家臣に伝え、自分は二人の武将を広間へと招いた
春日山城は、二人の参上に少々のざわつきを伺わせたが、それもすぐに収まる
広間へ入ると、秀吉はさっそく荷から包まれた何かを取り出す

「これは、三成からお前に渡すように頼まれたものだ」
「…っ、石田殿が…」

大きさからして書籍に間違いない
だが、一度でもあれを見てしまえば…

(石田殿からの…絶対に、某の好物…見たいが、見てはいかん!また前回のように…だが…っ!!!)
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