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【イケメン戦国】私と猫と

第25章 桜の咲く頃  二幕(六歳)


意味がわからない湖は首を傾げるだけだ
佐助は、痛む膝裏を無視し六歳児を部屋まで運ぶと、「では。にーさまは部屋に戻る」と言って出て行ってしまった
佐助の羽織を羽織ったまま部屋の中央に置かれた湖

「かかさま…にーさま、どうしたの?」
「くくっ…さぁな。さ、湖…佐助に言われた通り、着物を着ろ」
「うん…にーさま…ほんと、どうしたのかな??」

佐助の事を気にしながらも、白粉に着物を着せてもらう湖
出かける前まで来ていた赤い着物は何処に行ったのか見当たらず、白粉は葛籠から桃色の着物を出し着せた
薄桃色の着物に、赤い帯
最後に、髪の毛を整えてやると、佐助の羽織を湖に持たせた

「気になるなら、羽織を返すついでに聞いてこい」

そういたずらに微笑む

「うん、わかったー」

白粉のからかいに気づきもしない湖は、畳まれた羽織を持って佐助の部屋にと駆け出す
ぱたぱたと、軽い足音が縁側をかけていくのだ





「あ…湖様」
「あれ?かねつぐと…みつなりさま」

駆けていた湖だが、二人に出くわすとその足を止めた

「お急ぎでどちらに?」

三成は、湖の手元を見る
そこには緑色の布があって、それが誰の着物なのか兼続はもちろん、三成も解った

「にーさまの羽織を借りたから、返しにいくの!」
「湖様…またお着物の無い場所で…」

兼続はここが廊下だと言うこともあり、大声は出さず「猫」という言葉も出さず、小さく苦言を言う

「でも、にーさまだよ。湖も気をつけてるもん」

だが、湖は「兄」だから平気だと言うのだ
三成の目付きが一瞬だけかわる
ふぅっと、兼続ではないため息が聞こえ、湖は三成の方を見た

「湖様、湖様はもう立派な女子(おなご)です。女子は、兄であろうが人前で肌を晒すものではありません。いつまでも童気分でいては、大きくなりませんよ?」

膝をつき、同じ目線の高さで三成にそう言われ
湖は「おなご?」と首を傾げた
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