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【イケメン戦国】私と猫と

第28章 桜の咲く頃  四幕(十二歳)


『…私にお守を使った日だろう?まさか、私に使うとは思わず油断していた…あの日は、翌日まで寝てしまったが、信玄とお前の間にある雰囲気が変わったのは察した』
(…私、わかりやすい?)

ふふっと、笑うと白粉は鈴の額を舐める

『あぁ。とてもな。隠し事がなくなってすっきりしたという顔をしていた。おそらく信玄に知られただろう事は予測していた。確認すべきとも思ったが…そのうちお前から話があるだろうと思い放っておいた。なくとも、おかか様のところでわかる事だ…言いたいことはこれか?』
(そう。だけも、そこにもう一つあって)
『なんだ?幸村にもばれたのか?』
(ううん。幸は聞かない。察していると思うけど、幸はいいって。言いたくないなら聞かないって)
『若造らしい』
(…私、信玄様の本当の娘になりたいの)

ぴたりと白粉が止まる

(あのね、お守の事を話してしまったのもある…けど、そうじゃなくても…信玄様はすぐに人に隠し事して無理するの。私、なんとなくそれが解るようになって…だから、心配なの。側に居て少しでも信玄さまが休めるように、そんな存在になりたい…って思ったの。今は仮のととさまだけど、本当にこの人が私のととさまならいいなって…だから、お守の事を話したのも信玄様を信じているから。それに、私をその事で突き放したりしないって解ってたから。だから「私の秘密を知ったのだから、本当の娘にして」ってお願いしたいの)
『…そう、だな…大人になった後も、お前により添える家族が居ることはいい事だろう』

そう返した白粉の声色はどこか固い
湖がその顔を伺うように見れば、綺麗な金色の瞳は濁ったように色あせ
思考が固まっているように表情を微動だにしないのだ

(かかさま?)
『…いや…なんでもない。解った。信玄が受けるのならば、私は反対しない』

快く了承して居ないのは、目に見えて解る

(ご、ごめんなさい。かかさまに、相談せずに勝手にっ)
『構わない。お前にとって頼りになるものとの絆ができる…それがどんな形でも…お前の為になるならば、私は賛成だ』
(っ、あのね。かかさまが一番よっ湖にとって、かかさまが一番の絆があって家族。それは変わらないよ)

焦った様子の鈴は白粉の横腹にぐりぐりと頭をすりつけた
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